「AI研修を受けさせたいが、費用がネックになっている」——障がい福祉の現場でAI研修の導入を検討する事業所から、よくいただく声です。実はAI・DX関連の研修は、厚生労働省の「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」の対象になる場合があります。中小企業であれば、訓練経費の一部や受講中の賃金の一部が助成される制度です。
ただし、この助成金は令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置とされており、2026年に入ってからも申請書類まわりの改正が続いています。この記事では、制度の仕組み・自己負担のモデル試算・申請の流れ・2026年の改正ポイントを、障がい福祉特化のAI研修「WelvieAI」を例に整理します。
この記事でわかること
先に結論
AI・DX研修は助成対象になり得るが、審査・要件があり保証はされない — 中小企業なら訓練経費の75%+賃金の一部が助成され得る制度ですが、対象可否は事業主の状況・訓練内容・労働局の審査で決まります。令和8年8月3日以降に提出する計画届からは、職務に直接関連しない訓練や職業人として共通して必要となる基礎的な訓練は、DX・GXに関わる内容であっても対象外となりました。「AI研修だから対象」とは言えず、職務に直接結びつく専門的な内容であることが要ります。
時限措置なので、動くなら早めが現実的 — 令和8年度末(2027年3月末)までの制度です。計画届は研修開始の6ヶ月前〜1ヶ月前までに提出する必要があり、逆算した準備が要ります。
申請手続きは社会保険労務士の業務 — 研修事業者ができるのは、研修の提供と、カリキュラム・見積書・出席記録などの「研修側書類」の発行まで。書類の作成・提出・受給判断は事業主(お客様)と連携する社労士が担います。
01 / WHY NOW
障がい福祉の現場では、人手不足や記録・書類業務の負担が課題として挙げられることが多く、AI活用への関心が高まっています。一方で「研修にかかる費用」が導入のハードルになりやすいのも実情です。
厚生労働省の人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は、こうしたAI・DX関連の研修投資を後押しする制度のひとつです。ただし、この制度は令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置とされており、いつまでも使える制度ではありません。
制度の中身も動いています。2026年5月14日には受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)の提出が必須化され、さらに2026年8月3日には対象となる訓練の考え方そのものが見直されました(詳しくは次章)。制度の追い風があるうちに、早めに仕組みを理解しておくことが現実的です。
02 / OVERVIEW
制度の概要は次のとおりです。
| 正式名称 | 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース) |
|---|---|
| 管轄 | 厚生労働省(提出先は事業主の所在地を管轄する都道府県労働局) |
| 対象 | 事業展開・DX化等に伴い必要となる知識・技能を習得するOFF-JT訓練(10時間以上) |
| 助成内容(中小企業) | 訓練経費の75%。加えて、WelvieAIのような同時双方向型の通信訓練では、要件を満たす場合に訓練中の賃金1,000円/hも対象になり得ます(eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練は経費助成のみ)。賃金助成の対象時間は労働局の認定によります |
| 上限 | 1人あたり30万円(訓練時間10時間以上100時間未満の場合)/1事業所あたり年1億円 |
| 期限 | 令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置 |
| 方式 | 後払い(研修終了後に支給申請を行い、労働局の審査を経て支給の可否が決まります) |
対象になるのは「事業展開やDX化に伴って必要になる知識・技能の習得」を目的とした研修です。AI活用の研修も、この区分に当てはまる場合があります。ただし、対象になるかどうかは事業主の状況・訓練内容・申請時期・労働局の審査によって異なり、受給や助成額を保証するものではありません。
2026年(令和8年)8月3日以降に提出する計画届から、対象とならない訓練の考え方が見直されました。
改正前は、次のような訓練に当たっても「企業内のDX・GX化を進めるうえで必要なもの」であれば対象として扱う余地がありました。改正後は、DX・GXに関わる内容であってもこれらは対象外となります。
| 対象外となる訓練(例) | 具体例 |
|---|---|
| 職務に直接関連しない訓練(間接的に必要な知識・技能) | 業務と結びつかない一般的な内容 |
| 職業人として共通して必要となる基礎的な訓練 | 接遇・マナー研修など社会人としての基礎スキル |
つまり「AI研修だから助成対象」とは言えなくなりました。対象労働者の職務に直接結びつく、専門的な内容であることが要件です。
さらに注意したいのが訓練時間への影響です。対象外と判断された部分は、カリキュラム全体の一部であってもその時間が実訓練時間数から差し引かれます。差し引いた残りが10時間未満になると、その訓練自体が対象になりません。
そのため、研修を選ぶ際は「AIを扱っているか」ではなく、自事業所のどの職務・どの業務に直接つながる内容かを、カリキュラムで確認することが実務的です。
なお同じ改正で、eラーニングによる訓練の受講回数上限が「1労働者につき1年度3回まで」から1回までに変更されました(eラーニング以外は従来どおり3回まで)。受講形式によって扱いが変わる点にご注意ください。
※ 改正前に手続きが進んでいる場合の経過措置など、個別の適用可否は必ず所管の労働局・社会保険労務士にご確認ください。
03 / MODEL CALC
具体的なイメージがわきやすいよう、当社の「WelvieAI 障がい福祉特化AI実践研修」(1名20万円・税別)を例に、中小企業・1名受講の場合のモデル試算を示します(あくまで一例であり、実際の助成額を保証するものではありません)。
| 受講料 | 20万円 |
|---|---|
| 経費助成(75%) | 15万円 |
| 賃金助成(1,000円/h × 対象時間) | 想定1.2万円前後 |
| 助成見込み 合計 | 約16.2万円 |
| 自己負担目安 | 約3.8万円(試算・条件により変動) |
この試算はあくまで一例です。実際の助成額は、対象と認定される訓練時間や労働局の審査結果によって変わります。「〇〇円が必ず戻ってくる」というものではなく、支給までには審査があることをご理解のうえ、検討を進めてください。
04 / FOUR STEPS
助成金の活用を考える場合、大きく4つのステップで進みます。
計画届の提出には期限があるため、研修の申込みは開講の2ヶ月前を目安に進めることをおすすめします(提出できる期間自体は開講6ヶ月前から開いています)。
05 / 2026 UPDATE
助成金の制度は年度ごとに見直されます。2026年に押さえておきたい改正ポイントは次のとおりです。
06 / ROLES
助成金の活用を考えるとき、「誰が何をするか」を最初に整理しておくと迷いません。
| 役割 | 担当 | 内容 |
|---|---|---|
| 研修の提供 | 研修事業者(当社) | カリキュラムの設計・実施、出席記録・研修日誌の管理 |
| 研修側書類の発行 | 研修事業者(当社) | カリキュラム・見積書・出席記録・修了証などの発行 |
| 社労士のご紹介 | 研修事業者(当社) | 連携している社会保険労務士をご紹介します |
| 申請書類の作成・提出 | 事業主(お客様)+社会保険労務士 | 計画届・支給申請書・疎明書などの作成・提出・進捗管理 |
| 受給の可否判断 | 労働局 | 計画届・支給申請の内容を審査し、支給・不支給を決定 |
報酬を得て申請書類の作成や提出を代行することは、原則として社会保険労務士の業務範囲です。私たち研修事業者は「研修を提供し、必要な書類を発行し、社労士をご紹介する」ところまでを担い、申請の手続き自体は代行しません。この役割分担を最初に共有しておくと、後の手続きがスムーズです。
07 / PITFALLS
08 / SUMMARY
AIで何ができるかの全体像は「障がい福祉でAIは何ができる?」、研修そのものの選び方は「障がい福祉のAI研修はどう選ぶ?」もあわせてご覧ください。
09 / FAQ
いいえ。事業展開・DX化等に伴い必要となる知識・技能を習得するOFF-JT訓練(10時間以上)が対象です。対象になるかどうかは、訓練内容・事業主の状況・労働局の審査によって異なり、保証されるものではありません。
いいえ。2026年8月3日以降に提出する計画届からは、職務に直接関連しない訓練や、職業人として共通して必要となる基礎的な訓練は、DX・GXに関わる内容であっても対象外となりました。対象労働者の職務に直接結びつく専門的な内容であることが要件です。また対象外と判断された部分の時間は実訓練時間数から差し引かれ、残りが10時間未満になると訓練自体が対象になりません。個別の判断は所管の労働局・社会保険労務士にご確認ください。
中小企業・WelvieAI(1名20万円)を受講する場合のモデル試算では、自己負担目安は約3.8万円です。ただし、これは一例であり、実際の助成額は労働局の審査で認定される訓練時間などにより変動します。
いいえ。申請書類の作成・提出は原則として社会保険労務士の業務です。当社(研修事業者)は、研修の提供とカリキュラム・見積書・出席記録などの発行、連携している社会保険労務士のご紹介までを行います。
令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置とされています。年度が変わると要件が見直される可能性があるため、活用を検討する場合は早めの確認をおすすめします。
研修開始の6ヶ月前から1ヶ月前までの間に提出します。実務上は、開講の2ヶ月前を目安に準備を始めることをおすすめします。
いいえ。受講料は助成金の利用有無にかかわらず同一です。研修内容・カリキュラムに違いはありません。
あなたの右腕、作りませんか。
障がい福祉に特化したAI研修を、
助成金の活用可能性も含めて検討する。
障がい福祉に特化したAI研修「WelvieAI」。2ヶ月・全8回(計16時間・完全オンライン)で、仮想ケース演習を通じて、現場の業務改善を“自分たちで”進めるための基礎と実践を学びます。第1期〜第3期は満員御礼(受付終了)。第4期・第5期・第6期を受付中です。
資料請求・無料相談はこちら研修側で発行できる書類や、連携する社会保険労務士へのご相談手順もあわせてご案内します(要件・労働局の審査があり、受給を保証するものではありません)
この記事を書いた人
杉本 悠飛(すぎもと ゆうひ)
株式会社フェアテクノロジーズ 取締役 / ウェルビーラーニング事業責任者
就労継続支援A型事業所「テクキャリ」 取締役
障がい福祉に特化した動画研修サービス「ウェルビーラーニング」を立ち上げ、累計1,000社以上の事業者・のべ20,000名以上の受講を支援。自社グループでは就労継続支援A型事業所「テクキャリ」の運営に取締役として携わり、制度対応と現場運営の両方を実務として経験しています。虐待防止・身体拘束適正化・処遇改善加算・運営指導対策などの研修コンテンツ企画を統括。2026年からは障がい福祉特化のAI研修「WelvieAI(ウェルビーAI)」の立ち上げも担当しています。